個人再生の清算価値保障とは？

こんにちは。司法書士の森野です。

個人再生の最低弁済額を決める基準の１つに、「清算価値」というものがあります。

それでは、この「清算価値」とは、どのようなものなのでしょうか？

今回は、個人再生における清算価値について説明していきます。

個人再生とは、裁判所に申し立てることにより、今ある債務を大幅に減額し（５分の１程度）、減額した額を３年分割（特別の事情がある場合は５年）で返済することを認めてもらう手続きです。

しかし、個人再生には、最低限弁済しないといけない金額（最低弁済額）があります。

この最低弁済額を決める基準の１つが、清算価値です。

それでは、清算価値とは、どのようなものでしょうか？

以下で、説明していきます。

清算価値とは、簡単にいえば、「不動産、自動車、保険の解約返戻金、退職金など、保有している財産を売却した際の総額」です。

個人再生には、この清算価値を超える金額は最低限支払わなければいけないというルールがあります。（清算価値保障の原則）

以下で、清算価値保障の原則について、説明していきます。

個人再生では、破産した場合に債権者に配当される金額以上を最低限弁済しなければいけないとされています。

これを清算価値保障の原則と言います。

個人再生では、多くの財産を手元に残して手続きをすることができます。

しかし、債権者としては、財産の金額の方が高いのに、大幅に借金が減額されるとしたら納得がいかないでしょう。

そうであるならば、財産を処分して債権者に配当がされる「自己破産」をしてもらうほうが、債権者が回収できる金額が高くなる可能性があります。

このように、債権者が不利益を受けないように「清算価値保障の原則」が定められています。

なお、個人再生では、以下の３つを比較して、最も高い金額を返済していくことになります。

したがって、不動産を所有している場合や、退職金見込額や保険解約返戻金が多額となる場合は、最低弁済額も高額となることがあります。

小規模個人再生の場合は、①と②を比べて、高い金額のほうを支払うことになります。

給与所得者等再生の場合は、①、②、③を比べて、最も高い金額を支払うことになります。

清算価値として計上される財産は、以下のとおりです。

ただし、どの財産がいくら計上されるのかは、各裁判所によって異なります。

• 99万円未満の現金
• 預貯金
• 保険解約返戻金
• 積立金等
• 賃借保証金・敷金
• 貸付金、求償金等
• 売掛金等
• 退職金
• 不動産
• 自動車等

​清算価値は、個人再生の返済額を決めるための基準です。

したがって、個人再生で清算価値に計上されたからといって、これらの財産が処分されるわけではありません。

当事務所では、任意整理、個人再生、自己破産のサポートをさせていただいております。

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