相続人代表者指定届が届いた場合の相続放棄

こんにちは。司法書士の森野です。

ある日突然、「相続人代表者指定届」が役所から届いてお困りではないでしょうか?

「遠い親戚で会ったこともないから相続したくない」という方もいらっしゃると思います。

このような場合は、相続放棄をするという選択肢があります。

そこで、今回は、相続人代表者指定届が届いた場合の相続放棄について説明していきます。

相続人代表者指定届とは?

「相続人代表者指定届」とは、不動産を所有している人が死亡して相続人が複数いる場合に、固定資産税の納税通知書を受け取る人を指定して届け出るものです。

相続人が1人であれば、その相続人に納税通知書が送付されます。

しかし、相続人が複数人の場合で不動産を取得する人が決まってない場合に、相続人全員に納税通知書を送るのは、市役所にとっては手間となります。

そこで、市役所は、「相続人代表者指定届」を提出してもらい、その代表者に納税通知書を送付するようにしています。

なお、代表者として届け出たとしても、納税通知書を受け取る人を指定したという効果しか生じません。

したがって、「相続人代表者指定届」を提出することにより、不動産を取得する人が決まったり、代表者のみが納税義務を負うという効果は生じません。

相続人代表者指定届を提出しなかった場合

「相続人代表者指定届」を提出しなかったとしても、罰則はありません。

ただし、「相続人代表者指定届」を提出しなければ、市役所側で代表者を決め、その代表者に納税通知書が送付されます。

相続放棄をした場合

「相続人代表者指定届」を受け取った方の中には、相続をしたくないと考える方もいらっしゃるでしょう。

相続放棄をすれば、その相続については、最初から相続人にならなかったものとみなされます。

そのため、相続放棄をすれば、固定資産税を支払う必要はありません。

相続放棄ができる期間

相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」から原則3か月以内にしなければなりません。

「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、次の2つの事実を知った時から起算します。

  1. 相続開始の原因事実
  2. 自己が法律上の相続人となった事実

「相続人代表者指定届」が届いた方の中には、「遠い親戚の不動産について相続人代表者指定届が届いた」「長い間会ったことがない人について相続人代表者指定届が届いた」などということがあると思います。

遠い親戚や長い間会ったことがない場合は、死亡している事実やご自身が相続人になっていることを知らない方は少なくないでしょう。

したがって、このような場合は、市役所から「相続人代表者指定届」などの通知が届いた日から3ヵ月以内に相続放棄をする必要があります。

当事務所の解決事例

相談から解決までは、以下の通りです。

1.相談内容

お客様より「相続放棄手続きの相談をしたい」とお問合せを受けました。

そして、日程の調整をさせていただき、面談をしました。

今回は、市役所より「相続人代表者指定届」などの書類が、相続人であるお客様に届いた案件でした。

詳しくお話をお伺いしたところ、不動産の所有者である被相続人とは遠い親戚ですが、会ったことがなく、市役所からの「相続人代表者指定届」などの書類により、相続人であることを知ったとのことでした。

また、被相続人の死亡から3ヵ月以上が経過している案件でした。

そして、相続をしたくないとのことで、相続放棄手続きについて依頼をいただきました。

2.解決

相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内にするのが原則です。

「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、次の2つの事実を知った時から起算します。

  1. 相続開始の原因事実
  2. 自己が法律上の相続人となった事実

今回の案件では、被相続人には会ったことがなく、お客様自身が相続人になっている事実を知ったのは、市役所より「相続人代表者指定届」などの書類が届いたときでした。

したがって、「自己のために相続の開始があったことを知った時」である市役所より書類が届いたときから3か月以内であれば、相続放棄をすることができることになります。

また、相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述する必要があります。

しかし、今回は、被相続人が10年以上前に亡くなられていたので、住民票の除票や戸籍の附票が取得できませんでした。

そこで、唯一、被相続人の住所が証明できる不動産の登記事項証明書と戸籍の附票などの廃棄証明書等を提出して、不動産の登記事項証明書に記載されている住所を最後の住所として相続放棄手続きを行いました。

以上のことを、上申書(事情説明書)に記載し、疎明資料を添付して家庭裁判所に相続放棄を申述しました。

申述後、家庭裁判所より「照会書」がお客様に送られてきました。

「照会書」については、回答のサポートをさせていただき、お客様より家庭裁判所に「照会書」を返信していただきました。

返信後、無事に家庭裁判所からお客様へ「相続放棄申述受理通知書」が届いて、相続放棄が受理されました。

そして、市役所には、「相続放棄申述受理通知書」のコピーを送付すればいいとのことだったので、お客さまより市役所に送付していただき、業務終了となりました。

3.司法書士のコメント

今回は、被相続人が亡くなって3ヵ月以上が経過している案件でした。

ネットで相続放棄について検索してみて、「期限が3ヵ月なので、今回は相続放棄できない」と諦めていないでしょうか?

今回のように、被相続人とは会ったことがなくて、自分が相続人であることを知ることができなかったというような「特別の事情」があれば、相続放棄が受理される可能性があります。

したがって、諦めずに司法書士や弁護士に相談をしてみましょう。

相続放棄手続きでお困りならお任せください

当事務所でも相続放棄手続きの代行をしております。

当事務所にお任せいただければ、必要書類の収集から申述書の作成まで代行いたします。

よって、必要書類の収集や申述書の書き方で悩むこともなくなります。

また、家庭裁判所から送られてくる「照会書」への回答の支援もさせていただきます。

まずは、ご相談のご予約をお取りください。

また、当事務所にお越しになれない方でも出張相談を承っておりますのでご検討ください。

無料相談予約はこちら

お気軽にお問合せください

お電話での相談予約はこちら

078-600-2279

受付時間:平日:9:00〜18:00
定休日:土日祝(事前予約にて対応可)

パソコン|モバイル
ページトップに戻る